整形外科医が「腰痛」について解説してみました
こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。
突然ですが、今現在、病気やケガでなにか症状をお持ちですか?
平成28年の厚生労働省の統計ですが、
病気やけが等で自覚症状のある者〔有訴者〕は人口千人当たり 305.9人となっており、 性別にみると、男性271.9人、女性 337.3人 で女性が多いそうです。
症状別にみると、男性では「腰痛」が最も多く、次いで「肩こり」、「せきやたんが出る」、女性では「肩こり」が最も多く、次いで「腰痛」、「手足の関節が痛む」となっています。
そこで、今回は多くの方がお困りの「腰痛」についてお話していきたいと思います。
腰痛とは?
確立した定義はありませんが、一番下の肋骨(あばら骨)からお尻までの領域に生じた痛みを腰痛と定義することが多いです。
痛み出してから4週間未満を急性腰痛、4週間から3か月未満を亜急性腰痛、3ヵ月以上持続するものを慢性腰痛と呼びます。
原因は?
原因の明らかな腰痛と明らかでない腰痛(=非特異的腰痛)に分類されます。
原因の明らかなものとしては、
- 脊椎(背骨)由来
- 神経由来
- 内臓由来
- 血管由来
- 心理性
などが挙げられます。
一方、明らかな原因を認めない腰痛を総称して非特異的腰痛と呼びますが、実は8割以上が非特異的腰痛であると言われています。(最近の報告では変わっているようです。)
(レントゲンを撮影すると背骨の変形を認めることは多々ありますが、変形所見と症状とは必ずしも一致するわけではありません。)
筋・筋膜性腰痛などが非特異的腰痛に含まれます。
どのような人に起こりやすい?
職業によって頻度が変わってきます。
事務職では42~49%、看護職では46~65%、介護職では63%、技能職では39%、保安職では42%、運輸業では71~74%、清掃業では69%、建設業では29%と報告されています。
一定姿勢での作業や体への負荷が大きな作業が腰痛発症の危険因子と言えるでしょう。
また、職場でのストレス、人間関係の悩みなどの心理的要因も影響があると言われています。
特に心理的要因は腰痛が慢性化することにも影響してきます。
また、その他にも運動不足や喫煙も危険因子と言われています。
診断は?
まず十分な問診を行い、緊急で治療が必要な危険な腰痛かそうでない腰痛か判断します。
危険な腰痛(骨折、感染、腫瘍など)の場合は画像検査や血液検査などを追加し診断していきます。
危険でない腰痛であっても神経症状(おしりや脚にひろがる痛み・しびれ、脱力感など)を伴う腰痛も画像検査などを追加していきます。
その他、非特異的腰痛に関しては画像検査は必須ではないため後述の治療へ移っていきます。(もちろん適宜画像検査を追加することもあります。)
画像検査としてはレントゲン検査やCT検査、MRI検査などが一般的に行われます。
画像検査にはそれぞれ得意不得意があります。
私の外来でも腰痛の患者さんがたくさんいらっしゃいますが、中には初めからMRI検査を希望される患者さんもいらっしゃいます。
MRIは極めて有用な検査ですが、骨の形態を確認することにおいてはレントゲン検査に及びません。
私は骨の形態を把握するためにもまずはレントゲン検査を行い、必要に応じてCT検査やMRI検査を追加するようにしています。
治療は?
治療には薬物療法、ブロック注射療法、装具療法、理学療法(リハビリテーション)、手術治療などがあります。
- ブロック注射療法
- 装具療法
- 手術療法
予防は?
腰痛の予防には運動療法が効果的です。
日本理学療法士協会の資料がとても参考になるので添付しておきます。
運動習慣をつけることが腰痛予防に重要となります。
ウォーキングなど無理ない範囲で継続できる運動を行っていきましょう。
以上、今回は「腰痛」についてのお話でした。
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