足首の痛みの原因となる「足関節捻挫」について整形外科医が解説してみました
こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。
今回は足首の痛みの原因となる「足関節捻挫」についてお話していきたいと思います。
脚の痛みについてはこちら
足関節捻挫とは?
まず、捻挫とは、
関節が生理的可動域を超えた運動を強制され、
関節包や靭帯などの関節の支持組織に損傷が加わったものです。
概念としては靭帯損傷の軽・中症例として捉えられることが多く、
重症例は捻挫とは表現せず、損傷した靭帯名を冠した○○靭帯損傷と表現することが多いです。
捻挫の場合は、靭帯損傷があっても軽・中症例ですので、
骨折や脱臼を伴わず、関節の乱れはありません。
捻挫は各々の関節に生じますが、
そのうち足首に生じた捻挫を足関節捻挫と呼びます。
足関節捻挫のほとんどは、足首を内側にひねって生じます。
足首を内側に強くひねると、外くるぶし付近の靭帯の損傷を受けやすく、
特に、
前距腓靭帯、前距腓靭帯+踵腓靭帯、前脛腓靭帯の順に損傷が多いです。
出典:日本整形外科学会
症状は?
痛み、腫れ、皮下出血などが出現します。
受傷時のひねった方へ足首を再度ひねると痛みが増強します。
また、損傷した靭帯の上を押さえても痛みが増強します。
診断は?
足首をひねった経緯があり、
上記の靭帯を押さえると痛みが増強する場合は捻挫を強く疑います。
レントゲンで骨折がないことを確認することも重要です。
靭帯損傷の程度によっては足関節に不安定性が出現することもあるため、
不安定性が疑われる場合は、
レントゲンのストレス撮影(足をひねったり、反らせたりしながら撮影する)を行うこともあります。
合併損傷の評価のためMRI検査を行うこともあります。
治療は?
受傷直後はRICE療法有用です。
RICE療法とは、
Rest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)
のことです。
具体的に説明すると、
患部を安静にし、患部を氷で冷やし、テーピングや包帯で圧迫し、患部をなるべく心臓より高く挙上することで、
痛み、腫れが増強しないようにする処置です。
通常、数日間程度RICE療法を継続します。
損傷された関節包や靱帯は通常2~4週間程度で修復されるため、
RICE療法後は、患部に負担がかからないように支持固定することが基本です。
固定方法にはギプス固定が最も確実ですが、
長期に固定すると関節が固まったり、筋力が低下したりするため長期固定は避けるべきです。
軽症例に対してはギプス固定までは行わず、
テーピングや包帯固定で十分です。
捻挫と言えども、放置したり、適切な治療を受けないと、
陳旧性靱帯機能不全(癖になる)となり、
スポーツ選手の場合はスポーツに支障が出たりします。
また、ごく稀ですが、
不安定性の強いものや陳旧性靱帯機能不全に陥ったものは、
手術療法(靱帯修復術)を要することがあります。
以上、今回は「足関節捻挫」ついてのお話でした。