整形外科医oceanaidのブログ

中堅整形外科医の視点でいろいろ書いていきます。

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足首の痛みの原因となる「変形性足関節症」について整形外科医が解説してみました

こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。

今回は足首の痛みの原因となる「変形性足関節症」についてお話していきたいと思います。

 

脚の痛みについてはこちら

 

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変形性足関節症とは?

足関節(足首)は膝や股関節と比較し小さいため、

単位面積当たりの体重負荷が大きくなっています。

 

そのため、

ひとたび関節軟骨がすり減ると、

次第に関節の隙間が狭くなり最終的には骨同士が接触してしまいます。

このような状態を変形性足関節症と呼びます。

 

原因の明らかでない一次性と、

原因の明らかな二次性が存在し、

 

一次性の場合は主に加齢が、

二次性の場合は骨折や捻挫などの外傷細菌感染などが影響していると言われています。

 

もともとは、外傷後の二次性が多かったですが、

超高齢社会となった近年では、加齢に伴う一次性が増加してきています。

 

症状は?

体重をかけた時に内くるぶしあるいは外くるぶしに痛みが出現します。

 

変形性が進行すると、腫脹や運動時痛が増強します。

 

さらに進行すると、足関節の可動域制限が出現し正座が困難となってしまいます。

 

診断は?

レントゲンにて診断可能です。

 

レントゲンでは関節裂隙(関節の隙間)の残り具合によって病期(ステージⅠ~Ⅳ期)が決定されます。

 

Ⅰ期:骨棘はあるが関節裂隙の狭小化を認めない。

Ⅱ期:関節裂隙が一部狭小化している。

Ⅲ期:関節裂隙が一部消失している。

   Ⅲa期:関節裂隙の消失が内果関節面に止まっている。

   Ⅲb期:距骨滑車上面にまで及んでいる。

Ⅳ期:全体に関節裂隙が消失している。

 

治療は?

症状と病期をもとに治療方針が決定します。

 

症状軽度の場合は保存療法が選択されます。

その内容としては消炎鎮痛剤の内服、リハビリテーション、装具装着などです。

 

装具としては、

病期Ⅰ~Ⅱの場合は、傾きがついた足底板が、

病期Ⅲ~Ⅳの場合は、足関節固定装具が有効なことがあります。

 

疼痛が強い場合は手術療法を選択することもあり、

病期に応じて、

  • 外側側副靱帯再建術(軟骨が温存されており、外側の不安定性がある場合に適応)
  • 低位脛骨骨切り術(病期Ⅱ~Ⅲaに対しては良い適応、関節可動域が温存される)
  • 足関節固定術(病期Ⅲb~Ⅳなどに頻用される、除痛効果が高いが関節可動域は制限される)
  • 人口足関節置換術(病期Ⅲb~Ⅳなどが適応だが高度な変形は適応外だが、膝や股関節の人工関節と比べて成績は劣る)

などが選択されます。

 

以上、今回は「変形性足関節症」についてのお話でした。

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