整形外科と整骨院(接骨院)の違いは?整形外科医の視点から解説してみました。
こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。
今回は意外と知られていない「整形外科と整骨院(接骨院)の違い」についてお話していきたいと思います。
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整形外科とは?
整形外科は運動器の疾患を扱う診療科です。身体の芯になる骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系からなる「運動器」の機能的改善を重要視して治療する外科で、背骨と骨盤というからだの土台骨と、四肢を主な治療対象にしています。
引用元:日本整形外科学会
診察、検査などをもとに診断を下し、
その状態にあわせて保存療法や手術療法を行っていきます。
医師免許が必要になるため、いわゆる「医者」になります。
また、整形外科専門医というものがあり、
専門医になるためには、最短で医師免許取得後丸6年間かかります。
また、治療を受ける場合は保険適応になります。
整骨院(接骨院)とは?
柔道整復師(国家資格)が施術を行うところです。
主に3年制の専門学校や短期大学を卒業し、開業することが多いようです。
柔道整復師の起源は江戸時代までさかのぼり、
武術家がけが人を助ける「活法」に由来するそうです。
あくまでも「施術」ができるところであって、「治療」はできないためその範囲が法律で定められています。
具体的には、
急性、亜急性の明らかな外傷性の骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷に対し、
手術や投薬などの医療的は処置を用いずに、
応急的もしくは、医療補助的な方法によって治癒力を高めることを目的に施術されます。
また、脱臼、骨折に関しては、
応急の場合を除き、継続して施術を行う場合は、医師の同意が必要となります。
あくまでも施術にとどまりますので、
健康保険適応にも制限があり、
適用されるのは前述した急性、亜急性の外傷性のけがに対する時だけです。
また、脱臼、骨折に関しては、
応急処置以外は医師の同意が得られた場合のみの適応となります。
その他、労災や事故に関してはそれぞれ労災保険、自賠責保険が適応となるようです。
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整骨院(接骨院)の注意点
外傷性以外の疾患(例えば肩こり、腰痛など)に対しては保険が適応されませんので注意が必要です。
また、細かいことですが、
例え打撲、捻挫であっても整形外科を受診された後は、医師の同意がなければ整骨院(接骨院)での施術は保険適応外になってしまいます。
その他、応急処置を除いて
同じけがに対して同じ月に2か所以上整骨院(接骨院)をはしごすることも保険適応外になってしまいます。
また、
ごく一部だと信じていますが、
明らかな慢性疾患に対して無理やり捻挫などの嘘の病名を付けて保険を不正請求したり、
そもそも法律で許されていない、
骨盤矯正、脊椎矯正、頭痛、冷え性などの施術を謳う悪質な整骨院(接骨院)が存在するため注意が必要です。
骨盤や脊椎は強靭な靱帯で保護されており、
押したり揉んだりする程度では矯正なんかできるはずもなく、
何の効果もないことにお金を払ってしまうことになります。
整形外科と整骨院(接骨院)の使い分け
いずれの症状にしてもまずは整形外科の受診をお勧めします。
ご自身では軽いものだろうと思っていても、
いざ受診してみると治療を要する状態のことも多々あります。
適切な診断を受けることは重要です。
もちろん、
明らかに打撲程度で病院に行くまでもないけど何か施術を受けたいというときは整骨院(接骨院)に行っていただくことも良い手だと思います。
軽症の打撲などの場合は、
病院を受診して頂いてもRICE療法(R:安静 I:冷却 C:圧迫 E:挙上)を指導するのみで特別な治療はすることはほとんどないため、
(それでも整形外科医としては病院受診をお勧めしますが...)
また、
自費でも良ければ、(明らかな器質的疾患がないことが大前提ですが)
肩こり、腰痛に対して適度なマッサージを整骨院(接骨院)で受けるのも良いかもしれません。
(病院で理学療法士の適切なマッサージが受けれれば良いのですが、施設が限られておりなかなか難しいのが実情です。)
過去に幾度となく整骨院(接骨院)によるトラブルがあっていたため、
柔道整復師の方でもよく勉強されて、
適切な施術を行われている方も沢山いらっしゃいますので、
(現に、骨折が疑われる患者さんに付き添って病院を受診し、私の治療方針を熱心に聞いて帰られるような柔道整復師の方もいらっしゃいました。)
私は、整形外科と整骨院(接骨院)を上手に使い分けるのが良いのではないかと思います。
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