整形外科医oceanaidのブログ

中堅整形外科医の視点でいろいろ書いていきます。

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手の痛みの原因となる「手の変形性関節症」について整形外科医が解説してみました

こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。

今回は手の痛みの原因となる「手の変形性関節症」についてお話していきたいと思います。

 

腕の痛みについてはこちら

 

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手の変形性関節症とは?

他の変形性関節症と同様に、
関節軟骨の変性(老化)を基盤として発症する疾患です。

 

原因の明らかでない一次性と、

原因の明らかな二次性が存在し、

 

一次性の場合は主に加齢が、

二次性の場合は骨折や脱臼などの外傷、キーンベック病、関節リウマチなどが影響していると言われています。

 
発症する関節の部位によって、
  • 変形性手関節症
  • 母指CM関節症
  • ヘバーデン結節、ブシャール結節
と名付けられています。

 

 

変形性手関節症

変形性手関節症とは?

手関節(手首)に発症する変形性関節症です。

 

変形性膝関節や変形性肘関節などと比較し頻度は少ないです。

橈骨遠位端骨折(手首の骨折)、手根骨骨折(手のひらの付け根の骨折)などの外傷に続発するものが多いです。

 

症状は?

手関節痛、可動域制限、握力低下などです。

 

診断は?

上記症状に加え、レントゲンにて関節裂隙の狭小化、軟骨下骨の骨硬化などを認めると診断できます。

 

治療は?

消炎鎮痛剤の内服や装具(サポーター)の装着、リハビリテーションなどの保存療法が選択されますが、

保存療法を行っても、痛みが強く日常生活に支障が出る場合は、

関節固定術などの手術療法を選択することもあります。

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母指CM関節症

母指CM関節症とは?

母指(親指)の付け根のCM関節(手根中手関節)に発症する変形性関節症です。

 

第1中手骨と大菱形骨という骨の間の関節ですが、

この関節は、つまみ動作ができるように大きく動く関節です。


そのため、指の使い過ぎや老化に伴って発症します。

 

閉経後の女性に多いです。

 

症状は?

物をつまむ時やビンのふたを開ける時など母指に力が入る動作の時に、

母指の付け根付近に痛みが出現します。

進行すると母指が開きにくくなります(内転拘縮)。

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診断は?

上記症状に加え、レントゲンにて関節裂隙の狭小化、骨棘の形成などを認めると診断できます。

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母指を伸ばした状態で、軸方向に押さえつけながら円を描くように母指を回すと(分回し運動)母指の付け根に激痛が出現します。

これをgrind testと呼びます。

 

治療は?

湿布の貼付けや装具(サポーター)の装着、消炎鎮痛剤の内服、リハビリテーションなどの保存療法が選択されますが、
保存療法を行っても、痛みが強く日常生活に支障が出る場合は、
靱帯再建術、関節固定術、大菱形骨切除術、腱球移植術、インプラントによる関節形成術などの手術療法を選択することもあります。

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ヘバーデン結節、ブシャール結節

ヘバーデン結節、ブシャール結節とは?

指の第1関節(DIP関節;遠位指節間関節)に発症する変形性関節症をヘバーデン結節、

指の第2関節(PIP関節;近位指節間関節)に発症する変形性関節症をブシャール結節と呼びます。

 

原因は明らかになっていませんが、

40歳以降の女性に多く発症します。(女性が男性の10倍程度多い)

 

ブシャール結節はヘバーデン結節の20%程度に合併します。

 

症状は?

関節腫脹、関節痛が出現します。

 

ヘバーデン結節は、

DIP関節背側(第1関節の甲側)の中央の伸筋腱付着部を挟んで2つのコブ(結節)を認めるのが特徴です。

 

急性期には赤みを伴うこともあります。

また、

DIP関節背側に粘液嚢腫という水ぶくれのような出っ張りが出現することもあります。

 

慢性期には関節の屈曲変形(関節が曲がってしまう)にて、可動域制限が出現します。

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ブシャール結節も、

急性期には赤みを伴った関節腫脹、関節痛が出現し、

慢性期になると関節の変形によって指の偏位が出現することがあります。

 

診断は?

上記の特徴的な所見に加え、レントゲンにて関節裂隙の狭小化、骨棘の形成などを認めると診断できます。

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治療は?

消炎鎮痛剤含有軟膏の塗布や局所安静目的のテーピングなど、保存療法を選択しますが、

保存療法を行っても、痛みが強く日常生活に支障が出る場合は、

結節切除や関節固定術などの手術療法を選択することもあります。

 

 

以上、今回は「手の変形性関節症」についてのお話でした。

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