足の痛みの原因となる「痛風」について整形外科医が解説してみました
こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。
今回は足の痛みの原因となる「痛風」についてお話していきたいと思います。
脚の痛みについてはこちら
痛風とは?
尿酸の生成・排泄異常による高尿酸血症の結果、
尿酸が結晶化し、
関節および関節周囲の組織に沈着したり、関節内に析出することで、
①痛風発作、②痛風結節、③腎・尿管結石などを引き起こす疾患です。
出典:日本整形外科学会
尿酸とはプリン体の最終代謝産物のことで、主に肝臓で産生されます。
通常は体内に1200㎎程度貯蔵されています。
また、1日に700㎎程度産生され、
そのうち500㎎程度が尿として体外へ、
残りの200㎎程度が汗や消化液等として体外へ排泄されることで平衡を保っています。
ところが、
尿酸の生成増加や排泄低下によって血液中の尿酸量が増える(高尿酸血症)と、
尿酸結晶として析出しやすくなります。
誰に多い?
30~50歳台の男性に多いです。
(男性が98%以上を占めます。)
以前は中年男性の疾患というイメージがありましたが、
近年では発症年齢が若年化しており、
30歳台が最も多いです。
症状は?
①痛風発作
急性に発症する関節炎です。
足の親指の付け根(MTP関節)が主で約70%を占めます。
その他の部位としては、
足の甲、足首(くるぶし付近)、アキレス腱部、膝関節など脚に起こりやすいです。
ムズムズする前兆に続いて夜間に突然痛みが出現し、
痛み、腫れ、発赤が強くなり歩行困難となります。
ほとんどが一つの関節に発症し、
24時間以内にピークに達し1週間ほどで改善します。
次回の発作出現までには数か月~数年かかりますが、
高尿酸結晶を放置すると発作の頻度が高まってきます。
さらに放置すると、最終的には関節が破壊されて関節変形が起こります。
痛風発作は尿酸値が高いときだけに起こるのではなく、
尿酸値が高い状態から低下する過程でも発作が起きることがあるので注意が必要です。
②痛風結節
痛風発作後に高尿酸結晶を放置すると、
手指や足指の皮下、耳などに尿酸結晶が沈着し、しこり(痛風結節)ができることがあります。
③腎・尿管結石
尿酸結晶は腎臓や尿管に沈着したり、析出して結石を作ったりします。
それによって腎障害(痛風腎)を来すことがあります。
診断は?
特徴的な痛風発作の症状があれば診断は比較的容易です。
尿酸値は高いことが多いですが、
発作の期間中は尿酸値が高くないこともあるため、
発作の改善後に再評価することが望ましいです。
治療は?
痛風発作時の治療
非ステロイド性抗炎症薬(消炎鎮痛剤)を内服します。
症状が強い場合は倍量を短期間内服することもあります。
それでも効果がない場合は副腎皮質ステロイド薬の内服や関節注射を行うこともあります。
また、局所の安静と冷却も重要です。
痛風発作の前兆があるときの治療
発作の前兆があるときは、コルヒチンという薬を内服したり、
非ステロイド性抗炎症薬を内服したりします。
高尿酸血症の治療
生活習慣指導と薬物治療を行います。
生活習慣指導としては、
過食、常習飲酒、運動不足などを改善してもらいます。
特に、メタボリックシンドロームとの関わりが重要視されているため、
併せて、血圧、血糖、体重、脂質のコントロールが重要です。
薬物治療としては、
尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬が用いられます。
以下の場合は薬物治療の適応とされています。
原則としては、
尿酸生成過剰型の高尿酸血症に対しては尿酸生成抑制薬を、
尿酸排泄低下型の高尿酸血症に対しては尿酸排泄促進薬を選択します。
ただし、急激な尿酸値の低下は痛風発作を惹起するため注意が必要です。
以上、今回は「痛風」についてのお話でした。
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