整形外科医oceanaidのブログ

中堅整形外科医の視点でいろいろ書いていきます。

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肘の痛みの原因となる「変形性肘関節症」について整形外科医が解説してみました

こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。

今回は肘の痛みの原因となる「変形性肘関節症」についてお話していきたいと思います。

 

腕の痛みについてはこちら

 

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変形性肘関節症とは?

その他部位の変形性関節症と同様に、

関節軟骨のすり減りを契機に発症する疾患です。

 

肘関節は脚の関節と違い体重の負荷(荷重)がかからないため頻度は少ない傾向にあります。

 

原因の明らかでない一次性と、

原因の明らかな二次性が存在し、

 

一次性の場合は主に加齢職業が、

二次性の場合は骨折や脱臼などの外傷関節炎離断性骨軟骨炎などが影響していると言われています。

 

誰に多い? 

主に以下の方に発症します。
  • 肘の外傷後(骨折、脱臼など)
  • 腕を使うスポーツ選手(野球、剣道、やり投げなど)
  • 腕を使う職業(大工、チェンソーや削岩機などの使用者) 

男性に多く、比較的若い方(青年~中年)に好発します。 

 

症状は?

運動や作業後の肘関節痛が特徴的です。

 

変形が進行すると関節可動域が制限され、

肘が伸びないことを主な症状として受診される方も多いです。

 

肘の腫脹やロッキング(関節内遊離体が挟まり込んで肘が動かなくなった状態、動かそうとすると激痛を生じる)を伴うこともあります。

 

関節の変形によって、

尺骨神経という神経が圧迫を受け麻痺が出現することがあり、

その場合は、薬指と小指のしびれや感覚の鈍さなどが出現します。

 

診断は?

スポーツ歴、職業歴、外傷歴および症状を確認し、上記に当てはまれば本疾患を疑います。

 

レントゲンでは骨棘形成(過剰な骨の出っ張り)、関節内遊離体(はがれた軟骨や軟骨下骨のかけら)、関節裂隙狭小化(関節の隙間が狭くなる)などが確認できることがあります。

 

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治療は?

 原則的にまずは保存療法を選択します。

 

その内容としては、

安静、消炎鎮痛剤の内服、湿布などが主です。

症状が強い場合はステロイド薬の関節内注入を行うこともあります。

 

その他、保存療法に抵抗し、以下の症状の場合は手術療法を選択することもあります。 

関節内遊離体によるロッキング症状が主の場合⇒関節鏡視下遊離体摘出術

尺骨神経麻痺が主の場合⇒尺骨神経前方移行術

関節可動域制限が高度の場合⇒骨棘切除術および関節受動術

膝や股関節の変形性関節症と違い荷重関節ではないため、

人工関節置換術まで必要となることは少ないです。

 

以上、今回は「変形性肘関節症」についてのお話でした。

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