整形外科医oceanaidのブログ

中堅整形外科医の視点でいろいろ書いていきます。

スポンサーリンク

足の裏の痛みの原因となる「足底腱膜炎」について整形外科医が解説してみました

こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。

今回は足の裏の痛みの原因となる「足底腱膜炎」についてお話していきたいと思います。

 

脚の痛みについてはこちら

 

足底腱膜炎とは?

足底腱膜とは、

足の裏の筋肉を覆っている深筋膜のことで、

踵骨の内側結節から起始し、各趾の基節骨に付着します。

f:id:oceanaid:20190815105538j:plain

 

 足の裏は縦アーチ(内側縦アーチと外側縦アーチ)を形成し、

立位歩行時の衝撃を吸収するクッションの役割を担っていますが、

足底腱膜はその縦アーチを保持する重要な線維組織です。

 

歩行時には、

足底腱膜の踵骨付着部には強い牽引力圧迫力が掛かりますが、

その力が繰り返し掛かり、

足底腱膜の踵骨付着部に微小断裂変性が生じることで踵の痛みが出現する疾患です。

 

誰に起こりやすい?

 40歳代以降の中年者に多いです。

 

スポーツ障害として発症することも多く、

特に陸上競技の長距離選手や市民ランナーに多いです。

 

症状は?

朝起床時の一歩目で、踵の内側前方に激痛が走るのが特徴的です。

 

歩いていくうちに痛みは軽減しますが、

歩行量が増えるに従い、夕方頃に再び痛みが強くなります。

 

長時間の立ち仕事でも痛みが出現することがあります。

 

このような痛みが数か月にわたって繰り返されます。

 

診断は?

上記の特徴的な症状があり、同部位での圧痛(押さえた時の痛み)があれば診断は容易です。

 

ときにレントゲンにて、

足底腱膜の踵骨付着部に骨の突起(踵骨棘)を認めることがあります。

 

以前は踵骨棘が痛みの原因とされていましたが、

現在は足底腱膜踵骨付着部の変性の結果踵骨棘が形成されたのであり、

踵骨棘は痛みの原因ではないと言われています。 

 

治療は?

ほぼ全例自然治癒が期待できるので積極的治療は不要と言われています。

 

痛みが強い時期は、消炎鎮痛剤の内服や湿布薬などを使用します。

 

また、アーチサポート衝撃吸収パットなどを使用し、

踵部の衝撃を減じます。

 

そして、

足の裏のストレッチが重要です。

 

簡単なストレッチ法としては、

「つま先を手で引っ張って足の裏を伸ばす」方法が有用です。

 1セット10回、1日3セット以上を目安に行ってください。

 

その他にも、タオルギャザーという方法も有用です。

そのやり方は、

「床に敷いたタオルの上に痛い方の足をのせて、

足の指をつかってタオルを自分の方にたぐり寄せる」です。

 1セット20回、1日3セット程度を目安に行ってください。

f:id:oceanaid:20190815115629j:plain

 

以上、今回は「足底腱膜炎」ついてのお話でした。