整形外科医oceanaidのブログ

中堅整形外科医の視点でいろいろ書いていきます。

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手首や指の痛みの原因となる「ガングリオン」について整形外科医が解説してみました

こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。

今回は手首や指の痛みの原因となる「ガングリオン」についてお話していきたいと思います。

 

腕の痛みについてはこちら

 

ガングリオンとは?

関節包や腱鞘、靭帯から発生する軟部腫瘤で、袋状の腫瘤です。

その袋の内部にはヒアルロン酸を主成分とする透明なゼリー状の液体が入っています。

 

発生原因は不明ですが、

関節や腱鞘から茎を通って供給された滑液が袋内に溜まって、それが濃縮されることでゼリー状のガングリオンが形成されたり、

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関節包や靭帯周辺の細胞が繰り返し刺激を受けることによって粘液が産生され、

その周囲に袋状の小嚢胞が形成され、

さらにそれらが集合してガングリオンが形成されると言われています。

 

ガングリオンは良性の腫瘍と表現されることもありますが、

厳密に言うと非腫瘍性の腫瘤であり、真の腫瘍とは言えません。

 

誰に・どこに多い?

20~40歳台の女性に多いです。

 

好発部位ですが、

手首の甲側が最も多く、

その他にも手首の手の平側、指の付け根、足の甲などにもできやすいです。

 

症状は?

皮膚の下に弾性硬(スーパーボールのように硬くて弾力がある)の比較的滑らかな腫瘤を触れます。

大きさが変動することもあります。

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また、軽度の痛みと圧痛(押さえた時の痛み)を伴うこともあります。

 

診断は?

腫瘤を触れる場合は穿刺(針を刺す)を行います。

穿刺にてゼリー状の内容物が確認できれば診断が確定します。

 

腫瘤を触れない場合はエコー検査やMRI検査にてガングリオンの存在を確認することができます。

 

治療は?

自然治癒することもあるため、

無症状の場合はそのまま経過観察でも問題ありません。

ガングリオンの診断を受けた場合ですが...)

 

診断を兼ねて穿刺することで腫瘤の縮小も期待できます。

 

複数回穿刺しても再発する場合や、痛みがある場合、美容上の問題、神経の圧迫症状がある場合などは手術療法を選択することもあります。

 

手術では袋を丸ごと摘出します。

(関節包に続く茎状の構造をしていることもあるため、この場合は茎が付着している関節包ごと摘出します。)

 

以上、今回は「ガングリオン」についてのお話でした。