整形外科医が「肩こり」について解説してみました
こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。
以前「腰痛」について総論的なお話させてもらいましたが、
今回は腰痛とならんでお困りの方が多い、「肩こり」についてお話させて頂きます。
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肩こりとは?
「後頚部から肩、および肩甲背部にかけての筋肉の緊張感を中心とする不快感、違和感、鈍痛などの症状、愁訴」と定義されます。
症状は?
後頭部から肩、背中にかけて広がる、張ったような、凝ったような、重だるいような痛みが出現します。
頭痛や吐き気を伴うこともあります。
原因は?
原因が不明な原発性(一次性)と、原因の明らかな症候性(二次性)に分類されます。
僧帽筋という大きな筋肉が首から肩、背中にかけて広がっており、
原発性肩こりでは主にこの筋肉によって症状が出現します。
猫背や前かがみなどの不良姿勢、長時間首や背中が緊張するような状態での作業、なで肩などの体型、運動不足、精神的なストレス、冷房などによる冷えなどが要因となります。
一方、原因の明らかな症候性肩こりの原因疾患は
- 整形外科疾患
- 内科疾患
- 婦人科疾患
- 眼科疾患
と、多岐に渡ります。
診断は?
問診や診察、特に触診で僧帽筋の痛みや筋肉の緊張を確認します。
頚椎(首の骨)由来の症状であれば頚部の可動域(動く範囲)を評価したり、手や足に広がる神経の症状がないかをチェックします。
肩関節由来の症状であれば肩関節の可動域などをチェックしていきます。
その他、レントゲン検査やCT検査、MRI検査など必要に応じて検査を追加していきます。
整形外科疾患以外での肩こりの可能性もありますので、適宜専門科と連携していきます。
治療は?
原因の明らかな症候性肩こりの場合は、各々の疾患に対する治療を行っていきます。
原因が不明な原発性肩こりの場合は、
局所の安静、薬物療法(鎮痛剤、筋弛緩剤、湿布、局所注射など)、理学療法(筋力訓練、可動域訓練、温熱療法、電気療法など)などを行っていきます。
予防は?
- 姿勢を改善する(胸を張り、腰を伸ばす)
- 長時間同じ姿勢を続けない(適度にストレッチを取り入れる)
- 入浴、蒸しタオル、ホットパックなどで肩の筋肉の血行を良くする
- 適度な運動をする(腕を大きく振ってウォーキングするなど)
- ストレスをため込まない
おすすめの運動
東京大学医学部付属病院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座 特任教授 松平浩先生 考案の
「肘ぐるぐる体操(肩甲帯のダイナミックストレッチ)」
1)椅子に座った状態で足を肩幅に開き、両手の中指を肩の一番出っ張ったところにあてる。
2)両肘を前に上げ、肘の先で体の横に円を描くイメージで、後ろ回りにゆっくり大きく肩を回す。(この時、肩甲骨が動いていることを意識する)
腰痛・肩こりを楽にする3秒体操って? | ITワーカーにおくるCHO室だより Vol.1 | フルスイング - DeNA
3秒から始める腰痛体操&肩こり体操 (NHKまる得マガジンMOOK 生活実用シリーズ) [ 松平浩 ]
以上、今回は「肩こり」についてのお話でした。
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