整形外科医oceanaidのブログ

中堅整形外科医の視点でいろいろ書いていきます。

スポンサーリンク

股の痛みの原因となる「鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)」について整形外科医が解説してみました

こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。

今回は股の痛みの原因となる「鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群」についてお話していきたいと思います。

 

脚の痛みについてはこちら

 

スポンサーリンク  

鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)とは?

体幹・脚の機能不全が原因となった鼠径部痛(groin pain)で、

器質的疾患が認められないものを総称して、

鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群と呼びます。

 

ただし、

現在はMRIなどによる詳細な器質的疾患の評価が可能となってきたためその名が使われなくなりつつあります。

 

脚の捻挫や打撲、肉離れ、腰痛などの何らかの原因で、

  • 可動性(筋・関節の柔軟性)
  • 安定性(骨盤を支える筋肉)
  • 協調性体幹と脚の連動)
上記の障害が出現し、
 
その状態で無理してプレーを継続すると体幹・脚機能不全が出現し、
その結果、鼠径部痛が出現します。
 

誰に多い?

体幹・脚の機能不全を抱えた状態のサッカー選手に多いです。

 

症状は?

ランニングや起き上がり時、キック動作などで鼠径部やその周辺に痛みが生じます。

一旦症状が出現すると、機能不全が改善しない限りなかなか症状が改善しません。

f:id:oceanaid:20190829150533j:plain

スポンサーリンク  

診断は?

サッカー選手などで鼠径部周辺に痛みを訴え、

明らかな器質的疾患がなければ診断できます。

 

治療は?

可動性、安定性、協調性の機能不全を評価し、それぞれを修正する必要があります。

そのためには、リハビリテーションが極めて重要です。

 

その内容としては下記が中心になります。

  • 硬くなった筋肉や関節に対してマッサージやストレッチをすることで柔軟性を取り戻す
  • 体幹・脚の筋力を強化し、キック動作時に骨盤を支えられるようにする
  • 股関節に負荷が集中しないように腕~肩~胸~骨盤~脚へと連動するような効果的なキック動作を身につける

 

予防は?

  •  捻挫や打撲、肉離れなどの怪我をした後は、そのまま無理にプレーを続けない。
  • 股関節周辺の拘縮や筋力低下が出現したら早めに治療する。
  • 運動前の準備運動に体幹から脚を効果的に連動させる協調運動を取り入れる。
    (特にオフ明けは注意が必要なため準備運動を入念に行う。)

 

以上、今回は「鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群」についてのお話でした。

スポンサーリンク