整形外科医oceanaidのブログ

中堅整形外科医の視点でいろいろ書いていきます。

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肩こりや腕の痛みの原因となる「頚肩腕症候群」について整形外科医が解説してみました

こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。

 

今回は肩こり、腕の痛みの原因となる「頚肩腕症候群」についてお話していきたいと思います。

 

肩こりについてはこちら

腕の痛みについてはこちら

 

頚肩腕症候群とは?

 首から肩、上肢へ生じる痛みやしびれを主訴とする疾患群の総称です。

 

広義の頚肩腕症候群は、

頚椎症頚椎症性神経根症頚椎椎間板ヘルニア胸郭出口症候群、外傷性頚部症候群(いわゆるむちうち)などが含まれます。

 

狭義の頚肩腕症候群は、

キーパンチャー病(腕を浮かせた姿勢で、長時間キーをたたく動作を繰り返す作業をする人に生じる首・肩・腕の痛みで、明らかな神経の異常所見や、検査所見の異常を認めないもの)が含まれます。

 

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頚肩腕症候群の症状は?

頚・ 肩・腕の痛み、動かしたときの痛み、こり、脱力感、しびれなどが出現します。

 

また、めまい・動悸・眼症状など 自律神経症状や、腕の違和感・重だるい感じ、頭痛、睡眠障害などの症状が伴うこともあります。

 

ストレスや冷え、天気の変動などにより増悪する場合もあります。

頚肩腕症候群の診断は?

広義の頚肩腕症候群の場合、

その疾患に応じた診察にて異常所見を確認し、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査にて診断を確定します。

 

狭義の頚肩腕症候群の場合、

デスクワークやレジ打ちなどで、腕を浮かせて長時間キーをたたく動作のように、

偏った姿勢を継続した結果上記症状が生じ、

診察所見、画像検査所見では異常を認めない場合、診断します。

 

頚肩腕症候群の治療は?

鎮痛剤、筋弛緩剤、ビタミンB12製剤などの内服薬による治療が一般的です。

痛み止めの成分を含有する塗り薬や湿布薬も有効です。

 

また、リハビリテーションも有効で、

ホットパックなどの 温熱療法や、低周波・超音波・レーザーなどの電気治療、牽引療法などがあります。

 

ストレッチやリラクゼーション、体操などの運動療法、マッサージなども併せて行っていきます。

 

急性期は患部の安静も重要です。(ただし長期間の安静は厳禁です)

 

症状が軽減しても、同じ作業を再開すると再発しやすいため職場環境の改善も重要です。

 

また、広義の頚肩腕症候群の場合、各々の疾患に応じて必要時手術療法を選択することもあります。

 

以上、今回は「頚肩腕症候群」についてのお話でした。