手首の痛みの原因となる「ドケルバン病」について整形外科医が解説してみました
こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。
今回は手首の痛みの原因となる「ドケルバン病」についてお話していきたいと思います。
腕の痛みについてはこちら
ドケルバン病とは?
手首の甲側には指を伸ばす腱(伸筋腱)が走行しており、
それぞれの腱は6つの区画内を通っています。
その区画のうち、一番親指側を第1区画と呼び、
その中には長母指外転筋腱と短母指伸筋腱が通っています。
ドケルバン病とは、
この第1区画での腱鞘炎のことです。
出典:日本整形外科学会
誰に起こりやすい?
女性に多いです。(男性の4倍程度)
特に40~50歳代に好発します。
また、利き手側が若干多くなります。
男性の場合は手の使い過ぎで起こることが多いですが、
女性の場合は原因が明らかでないことが多いです。
症状は?
上記イラストの③のところに痛みや腫れが出現します。
ごくまれに、引っかかり感が出現することもあります。
診断は?
以下の疼痛誘発テストで痛みが増強する場合に診断します。
- アイヒホッフテスト
親指を中に入れて手を握り、手首を小指側に曲げると痛みが強くなる
出典:日本整形外科学会
- フィンケルシュタインテスト
親指を小指側に引っ張ったときに痛みが強くなる
出典:日本整形外科学会
治療は?
保存療法が第一選択であり、ほとんどの方に有効です。
保存療法の内容としては、
局所の安静を目的として親指と手首を固定したり、消炎鎮痛軟膏を使用したりします。
また、最も有効な保存療法はステロイド剤の腱鞘内注射です。
多くの方が注射によって軽快します。
一方、保存療法に抵抗する場合は手術療法を選択することもあります。
手術療法としては腱鞘切開術(腱鞘を切って第1区画を開放する)が行われます。
以上、今回は「ドケルバン病」についてのお話でした。