【大谷翔平選手、二分膝蓋骨にて今季中の復帰は絶望的】整形外科医が「二分膝蓋骨」について解説してみました!!
こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。
本日(9月13日)朝、ショッキングなニュースがありました。
日本の宝大谷翔平選手が二分膝蓋骨の手術のため今シーズン中の復帰は絶望的とのニュースです。
そこで今回は「有痛性分裂膝蓋骨(二分膝蓋骨)」についてお話していきたいと思います。
脚の痛みについてはこちら
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有痛性分裂膝蓋骨とは?
膝蓋骨とは膝のお皿の骨のことです。
通常1個の骨化核(骨の成長中心)から生じますが、
時に2個以上の骨化核があり、その癒合が妨げられると2個~数個に分裂した膝蓋骨を形成します。
この状態の膝蓋骨のことを二分膝蓋骨と呼びます。
多くの場合は無症状で経過しますが、
過度のスポーツ活動などによって分裂部に牽引力が繰り返しかかった場合や、打撲などの外傷後に痛みが出現することがあります。
この痛みが出現した二分膝蓋骨を有痛性分裂膝蓋骨と呼びます。
大谷翔平選手も報道では二分膝蓋骨となっていますが、
痛みが出現していることから、
正確には有痛性分裂膝蓋骨になります。
誰に多い?
部活動などでスポーツを続けている10代に多くみられますが、
時に成人でもみられることがあります。
発生頻度は0.2~1%と 報告されており、男女比は3:1で男性に多いです。
症状は?
ランニング、ダッシュ、ジャンプ時に膝前面に痛みが出現します。
安静時痛は少ないですが、
分裂部に一致した部位に圧痛(押さえた時の痛み)、叩打痛(叩いた時の痛み)が出現します。
診断は?
レントゲンにて分裂部を容易に確認できます。
Saupe分類が頻用されますが、
Ⅲ型が最も多く、次いでⅡ型、Ⅰ型の頻度になります。
Ⅰ型:膝蓋骨の下端部の分裂
Ⅱ型:膝蓋骨の外側部の分裂
Ⅲ型:膝蓋骨の外上方部の分裂
治療は?
保存療法
原則は下記の保存療法を選択します。
- スポーツ活動の制限
- 大腿四頭筋(太ももの前面の筋肉)、大腿部膝屈筋(太ももの後面の筋肉)のストレッチ
- 膝蓋骨サポーターの装着
手術療法
痛みが強く、スポーツ活動が長期間制限される場合は下記の手術を行うことがあります。
- 分裂骨片摘出術
- 骨穿孔術(分離部の新鮮化)
- 骨接合術(分裂部をつなぐ)
- 外側支帯切離術
- 外側広筋切離術
予後は良好ですので、大谷翔平選手もまず問題なく復帰できるでしょう。
来シーズンに期待です。
以上、今回は「有痛性分裂膝蓋骨(二分膝蓋骨)」についてのお話でした。
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