オプション取引に関するIB証券とサクソバンク証券の比較 ~手数料を中心に~
こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。
2020年2月にIB証券口座を開設し、米国株オプション取引を開始しました。
私がオプション取引を開始した当初は取引できる証券会社が限られており、
IB証券(Interactive Brokers)かFirstradeのほぼ二択でした。
IB証券は高機能で中上級者向けですが日本語対応可能、
Firstradeはやや機能が劣り初心者向けで手数料無料ですが英語での対応となるなどの違いがあり、
英語力ほぼゼロの私としては初心者ではありましたがIB証券一択でした。
いずれにしても海外の証券会社ですので日本人投資家にとっては参入障壁が高い状況でした。
ところが2020年5月からサクソバンク証券にて外国株式オプション取引の取り扱いが開始されたことで参入障壁が大きく下がり、
少しずつではありますが米国株オプション取引を行う日本人投資家が増えてきているように思います。
私自身もサクソバンク証券のことが気になっていたことから、
今回、オプション取引に関する手数料を中心にIB証券とサクソバンク証券を比較してみました。
なお、
私が調べた中での比較となりますので誤りがある可能性があります。(特にサクソバンク証券について)
参考程度に見て頂ければ幸いです。
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比較表
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①取引手数料
IB証券ではTiered(変動型)とFixed(固定型)の二つの料金体系があり、
株式に関してはどちらかを選択可能ですが、
日本からオプション取引をする場合はTiered(変動型)に定められています。
Tiered(変動型)の内容としては下記の通りです。
引用:IB証券
一応説明すると、
1か月間の取引枚数が10,000枚以下の場合の手数料は以下の通りになります。
1枚あたりのプレミアムが0.05ドル未満 ➡ 1枚あたり0.25ドル
0.05ドル以上0.1ドル未満 ➡ 1枚あたり0.5ドル
0.1ドル以上 ➡ 1枚あたり0.65ドル
※いずれも最低手数料は1注文当たり1ドル
例を挙げると、
a. プレミアムが1ドルのプット(コール)を1枚売る(買う)と手数料は0.65×1=0.65ドル⇒最低手数料1ドル
b. 2枚売る(買う)と0.65×2=1.3ドル
c. プレミアムが0.08ドルのプット(コール)を3枚売る(買う)と0.5×3=1.5ドル
d. プレミアムが0.03ドルのプット(コール)を3枚売る(買う)と0.25×3=0.75ドル⇒最低手数料1ドル
e. 5枚売る(買う)と0.25×5=1.25ドル
といったように枚数に応じて手数料が増えていきます。
さらに、取引所手数料(取引所や取引方法によって様々)、オプション規制手数料(0.0388ドル)など種々の手数料が上乗せされます。
なお、逆に取引所などから還元されるリベートもあるため、
最低手数料の1ドル未満となることも多々あります。
(私の場合は平均すると1枚あたり約0.9ドルとなりました。)
一方、サクソバンク証券の場合は単純に1枚あたり3ドルですので上記の例だと、
a. 3ドル、b. 6ドル、c. 9ドル、d. 9ドル、e. 15ドル
となります。
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②決済通貨
IB証券はドル建て、サクソバンク証券は円建てとなります。
IB証券の場合はドル転が必要だったり、
確定申告の際は円貨換算が必要だったりとかなりの手間がかかります。
ただし確定申告の際は、
TTS・TTBレートで円貨換算するとドル換算より利益が縮小しますので、
税金的にわずかに有利となり、
ドル建てが必ずしもデメリットとは言えないと思います。
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③両替コスト
上述の如く、IB証券ではドル転が必要になります。
手数料としては1か月当たり1,000,000,000ドルまでは1ドルあたり0.00002ドルかかります。
ただし1注文当たりの最低手数料が2ドルですので、
1注文当たり100,000ドル以下の両替は一律2ドルかかります。
私の場合は10,000~20,000ドル毎にこまめに両替していたのでトータルで40ドル程度かかってしまいました。
またドル転のタイミングによる為替差損益も発生しています。
さらに、IB証券の口座内に入金する際は海外送金扱いになりますので送金手数料が高額になります。
私が調べた中での手数料最安は三井住友銀行の外国送金サービス(国内非居住者円建送金)で1回あたり800円です。
ただし、
1日あたりの送金上限額300万円、1か月あたりの送金上限額500万円と制限されているため、
私の場合は計9回送金し7,200円の手数料を三井住友銀行に支払いました。
一方、サクソバンク証券の場合は円建てでの取引となるため基本的にはドル転が不要で、
口座へ入金する際もクイック入金を使用すれば無料のようです。
その代わり、コンバージョンレートとして1注文あたりプレミアムの1%のコストがかかります。
プレミアムの総額が大きい場合や取引回数が多い場合は無視できないコストになってくるかもしれません。
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④権利行使・権利消滅・割り当て手数料
IB証券の場合はいずれも無料です。
一方、サクソバンク証券の場合はオフィシャルサイトを見ても明らかな記載はありませんでしたが、
いつも参考にさせて頂いているZ9さん(@Z9crypto)のツイートによると以下のようでした。
サクソはもうPut売りの権利消滅や現物株アサインの清算がされていた。
— Z9 (@Z9crypto) 2020年12月13日
結論:手数料たいしたことなし。
1)オプション権利消滅は現物アサイン有無にかかわらず手数料なし
2)現物株アサイン-> 0.3~0.4%手数料
3)PUT売り->0.03~0.17%
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⑤口座維持手数料
IB証券の場合は1か月あたり10ドルの手数料がかかります。
ただし実際は「月間口座維持手数料=10ドル-1か月あたりの取引手数料の総額」で計算されるため、
月10回オプション取引すれば元が取れる計算です。
なお、流動性資産価値(現金+株式評価額+オプション評価額)が100,000ドル以上あれば10ドルの手数料は免除されます。
一方、サクソバンク証券の場合は無料です。
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⑥税金
IB証券は総合課税、サクソバンク証券は申告分離課税となります。
総合課税の場合は所得額に応じて以下の通りに税率がアップします。
引用:国税庁
米国株オプション取引による利益は雑所得に分類されるため、
給与所得等と合算し課税所得が算出され、
その金額に応じた税率となります。
一方、サクソバンク証券の場合は申告分離課税ですので、
オプション取引による利益には20.315%の税金がかかります。
ちなみに、
私の場合は給与所得とオプション取引の利益を合算すると所得税率は33%となるため、
サクソバンク証券での取引と比較し12.685%も税金的には不利となります。
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試算
手数料はIB証券が圧倒的に安いです。
オプションによる利益を30,000ドル、1注文あたり1枚(IB証券の手数料は1ドル)と仮定してざっと手数料を試算すると、
年間100枚程度の少ない取引なら500ドル程度の差で済みますが、
400枚を超えてくると1,000ドル以上、
900枚を超えてくると2,000ドル以上IB証券が安くなります。
ただし、
手数料および税引き後の利益を試算すると結果が大きく変わってきます。
例えばオプションによる利益が30,000ドル、所得税率が33%のケースにおける手数料および税引き後の利益は、
年間100枚の取引では3,400ドル程度IB証券が少なく、
1,000枚の取引でもまだ1,900ドル程度の差があります。
そして、2,100枚の取引でようやくIB証券が逆転するという結果でした。
(所得税率23%なら300枚の取引で逆転していました。)
以上の結果から私の考えは以下の通りです。
私の場合は2にあたるのでサクソバンク証券でのオプション取引が望ましいですが、
株式取引も考慮し(取引手数料はオプション取引同様IB証券が圧倒的に安く、譲渡益はサクソバンク証券と同率の20.315%)来年もIB証券で取引したいと思います。
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