整形外科医oceanaidのブログ

中堅整形外科医の視点でいろいろ書いていきます。

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肘の痛みの原因となる「ゴルフ肘」について整形外科医が解説してみました

こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。

 

今回は肘の痛みの原因となる「ゴルフ肘」についてお話していきたいと思います。

 

腕の痛みについてはこちら

テニス肘についてはこちら

 

ゴルフ肘とは?

医学的には上腕骨内側上顆炎といいます。

 

上腕骨内側上顆とは、肘の内側に骨の出っ張りを触れると思いますが、この部分です。

 

上腕骨内側上顆には手首を曲げたり、手を内側にねじったり、指を曲げたりする筋肉が付着していますが、これらの筋肉を使いすぎると、筋肉の付着部が傷んでいきます。

 

このため、手首や指を動かしたり、手を内側にねじったりすると痛みが出現します。

 

ゴルフプレイヤーが無理なスイングを続けたり、ダフったりした際に起こりやすいことから「ゴルフ肘」と呼ばれています。

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誰に起こりやすい?

中高年のゴルフプレイヤーに多いです。

頻度はテニス肘の2割程度で、男性に起こりやすいです。

 

原因は?

中高年の方は、上記の筋肉の付着部が加齢によって衰えていきます。

 

その衰えた筋肉の付着部に、力んだ無理なスイングを続けたり、ダフったりすることで衝撃が加わり、その衝撃が繰り返されることで発症します。

 

症状は?

手を使ったときにの内側に痛みが生じます。

 

ゴルフのスイング時や腕を曲げたりひねったりしたときに生じやすいです。

 

診断は?

痛みの部位を確認します。

 

また、疼痛誘発テストが有用です。

以下のテストで痛みが誘発されると陽性です。

 

 1. トムゼンⅡテスト

肘を伸ばして握り拳を作ってもらい、抵抗に打ち勝って手首を手のひら側に曲げると内側上顆に痛みが出現する。

 
 2. 回内抵抗テスト
肘を曲げて、抵抗に打ち勝って手のひらを内側にねじると内側上顆に痛みが出現する。

 

治療は? 

患部の安静が原則です。

 

テニス肘ベルトやサポーターが有用です。

 

その他、湿布や鎮痛剤も有効です。

 

痛みが軽減しない場合は患部へのステロイド注射が有効で多くの方が治癒しますが、

注射後に痛みがなくなったからといって無理をすると再発しやすくなるので注意が必要です。

 

 

ほとんどの場合が上記の治療で改善しますが、

半年以上経過しても改善しない場合は手術療法を選択することもあります。

 

その方法としては、

筋肉の骨への付着部を一旦剥がし、傷んでいる部分を切除した後、骨へ縫い付けるというものです。

 

最近では関節鏡を使って患部を切除する方法も行われています。

 

日常生活での注意点は?

急な握り動作をしないように注意します。


ストレッチ(痛い方の肘を伸ばし、逆の手で引っ張って手首を手の甲側にゆっくりそらせる)を継続してもらいます。

 特にゴルフのプレー前後には入念にストレッチをしてもらいます。

 

以上、今回は「ゴルフ肘」についてのお話でした。