足首の痛みの原因となる「アキレス腱断裂」について整形外科医が解説してみました
こんにちは、中堅整形外科医oceanaidです。
今回は足首の痛みの原因となる「アキレス腱断裂」についてお話していきたいと思います。
脚の痛みについてはこちら
アキレス腱断裂とは?
通常、筋肉の末端は腱や腱膜となって骨、軟骨、靭帯に付着します。
ふくらはぎの筋肉(腓腹筋とヒラメ筋を併せて下腿三頭筋と呼びます)は、
その末端でアキレス腱となり、踵骨に付着します。
アキレス腱断裂とは、
踏み込み・ダッシュ・ジャンプなどの動作で下腿三頭筋が急激に収縮した時や、
着地動作などで急に下腿三頭筋が伸ばされたりした時に発生する、
日常で良く遭遇する外傷です。
腱の退行性変性(老化現象)が基盤にあると考えられています。
誰に多い?
好発年齢は30~40歳台で、レクリエーションスポーツによる受傷が多いですが、
高齢者の場合は転倒などの日常生活の中で起こることもあります。
症状は?
アキレス腱部の痛み、つま先立ちができない、歩行障害などが出現します。
スポーツ中に、「アキレス腱部を後方から竹刀で叩かれたような感じ」や、「ボールが当たったような感じ」、「バキッと音がした」などと自覚することが多いです。
診断は?
アキレス腱断裂部に凹みを触れます。
また、トンプソンテスト陽性となります。
うつ伏せで膝を直角に曲げた状態でふくらはぎを強くつまむと、正常では足関節は底屈します。アキレス腱が断裂するとこの底屈がみられなくなります。
出典:日本整形外科学会
治療は?
保存療法は、
ギプスや装具などで、おおむね6~8週間程度足首を固定します。
手術療法は、
アキレス腱縫合術(断裂部を切開し、断端同士を縫合する)が主に行われます。
手術療法と保存療法はどちらも合併症さえ発生しなければ、
長期的に見ると機能成績は良好です。
ただし、スポーツの早めの復帰を希望する場合は、手術療法を勧められることが多いです。